東京工業大学 中嶋・梁研究室

Nakajima/Liang Laboratory, Tokyo Institute of Technology
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プロジェクト

未来社会創造事業(JST MIRAI)

Society5.0 の実現をもたらす革新的接着技術の開発
界面マルチスケール4次元解析による革新的接着技術の構築
「ナノ触診原子間力顕微鏡による接着界面の評価手法の開発」

未来社会創造事業では、社会・産業ニーズを踏まえ、経済・社会的にインパクトのあるターゲット(出口)を明確に見据えた技術的にチャレンジングな目標を設定し、実用化が可能かどうか見極められる段階(概念実証:POC)を目指した研究開発を実施します。その中の「界面マルチスケール4次元解析による革新的接着技術の構築」プロジェクト(代表者:九州大学田中敬二教授)において、当研究室では「ナノ触診原子間力顕微鏡による接着界面の評価手法の開発」というタイトルで研究を行なっています。

この研究課題では、本研究室で開発をしているナノ触診AFM、ナノレオロジーAFM、さらに粘度をマッピングできる新手法を駆使し、接着界面のマルチスケール解析に資することを目的としています。相溶・非相溶系高分子界面・異種材料界面接着を研究対象としています。

 

戦略的創造研究推進事業(JST CREST)

実験と理論・計算・データ科学を融合した材料開発の革新
「熱可塑性エラストマーにおける動的ネットワークのトポロジー制御」

戦略的創造研究推進事業(CREST)は、我が国の社会的・経済的ニーズの実現に向けた戦略目標に対して設定され、インパクトの大きなイノベーションシーズを創出するためのチーム型研究です。当研究室では、研究領域「実験と理論・計算・データ科学を融合した材料開発の革新」(研究総括:細野秀雄教授)において、研究代表者として活動をしています。

この研究課題ではゴム弾性と熱可塑性樹脂の性質を合わせもつ熱可塑性エラストマー(TPE)を対象にゴムを代替できるタフなTPE材料を実現します。最新鋭の実験手法を駆使して変形下にあるTPEのナノ構造変化を追跡し、データ同化シミュレーションで応力鎖ネットワーク構造を可視化します。そこにトポロジーなどの数学を協奏させ、環境変化に応答して動的に構造が組み変わり多機能性を発現するような階層ネットワーク数理モデルを提案します。

 

「知」の集積と活用の場による革新的技術創造促進事業

森林資源を有効活用した革新的新素材の創成と応用の開拓
「AFMによるナノ構造解析」

本プロジェクトでは信州大学カーボン科学研究所が、セルロースナノファイバー(CNF)もしくは炭化したバイオ系ナノカーボンをフィラーとする高分子複合材料を創成し、さらにその実用性を検証し、応用部品、応用製品を商品化、事業化の目途を付けることによって、農林水産業およびその他の産のイノベーションを目的としています。

我々の研究室では「AFMによるナノ構造解析」というタイトルで研究を行っています。ナノ触診技術を用いて、通常は観察が難しいCNF複合材料のナノ構造・ナノ力学物性を定量解析します。さらに同手法が、ひずみ下にある試料の応力分布マッピングを可能とできるようにするための装置開発も進めています。

 

農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業

国内林産資源を活用したナノセルロース複合スーパーマテリアルの商品開発
「NC立体構造の解析」

本プロジェクトでは信州大学カーボン科学研究所が、国内林産資源を活用したナノセルロース(NC)、特に東京大学磯貝研究室で開発されたTEMPO触媒酸化NCを対象に、信州大学において開発されたカーボンナノチューブ(CNT)セルレーション技術を活用し、NCの解繊と立体制御を実現することを目指しています。その技術を協力企業により工業技術に発展させ、高い強度、耐熱性、耐久性と柔軟性等の特性を兼ね備えたこれまでにないスーパーマテリアルを生み出すことを目標に掲げています。

我々の研究室では「NC立体構造の解析」というタイトルで研究を行っています。本事業で創成を目指すTEMPO触媒酸化NCがゴムや樹脂マトリックス中で解繊・セル化された超高性能ナノコンポジットにおけるナノ構造・ナノ力学物性をナノ触診原子間力顕微鏡(AFM)を用いて調べています。

 

革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)

超薄膜化・強靭化「しなやかなタフポリマー」の実現
「ナノ触診原子間力顕微鏡によるタフポリマーの局所力学物性計測」

従来の限界を超える薄膜化と強靱化を備えた「しなやかなタフポリマー」を実現すること、究極の安全性・省エネ自動車の実現など、材料から世の中を変えることを目指したプロジェクトです。これが実現すれば、ポリマーのタフネス化は、燃料電池やLi電池、車体構造、タイヤなどの飛躍的な高性能化に寄与するため、自動車を始めとする輸送機器の軽量化・信頼性・安全性を飛躍的に向上させることに繋がります。

我々の研究室では、この中で、プロジェクトC「車体構造用樹脂強靭化プロジェクト」として、特に以下の3つの課題を掲げ研究活動をしています。

  • 「粘弾性体の局所力学物性計測を実現するナノ触診AFMの発展的改良」
  • 「ナノ触診AFM応力緩和像による局所的破壊エネルギー計測への応用」
  • 「ナノ触診AFMのエラストマー複合体の破壊挙動の測定への応用」

 

埼玉県産学連携研究開発プロジェクト

ナノカーボン信州大学プロジェクト
「ナノカーボン樹脂セルレーション材料の創成と実用化開発」

本プロジェクトでは信州大学カーボン科学研究所が、ナノカーボンを完全に分散させた高強度・高耐熱・高耐久性を持ち合わせた樹脂を開発しています。その技術を協力企業により工業技術に発展させ、自動車部品・産業用部品・資源開発用部品等の製品化を行うことを目標に掲げています。

我々の研究室では「AFMによるNC複合材の構造解析、モルフォロジー解明」というタイトルで研究を行っています。本事業で創成を目指すカーボンナノチューブ(CNT)などのナノカーボンが樹脂マトリックス中で解繊・セル化された超高性能ナノコンポジットにおいて最近見出されつつある現象のひとつに、脆性材料のじん性化効果がありますが、その原理をナノ触診原子間力顕微鏡(AFM)を用いて調べています。

 

戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)

革新的構造材料
「高分子の劣化・破壊現象のナノスケール観測」

戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は、府省・分野を超えた横断型のプログラムです。このSIPの5つの課題のうち、当研究室では、課題「革新的構造材料」マテリアルズインテグレーション領域において、東北大学西浦廉政教授の研究分担者として活動をしています。

ナノ触診原子間力顕微鏡(AFM)を活用し、プラスチック材料の破壊時に特徴的にみられるクレイズ発生やプラスッチックを母材とした耐衝撃性アロイや繊維強化型コンポコットの特異的な劣化・破壊現象をナノスケールの構造と力学物性の観点から追求し、マクロスケールの劣化・破壊特性との関係解明を目指しています。特にプラスチック材料の応力下におけるクレイズ発生前後の力学物性変化を捉え、データ同化型粗視化シミュレーションモデルとの連携を目指しています。そのためナノ触診AFM画像を数理解析グループに提供し、パーシステントホモロジーを適用する新たな数学解析方法の導入に資することを目的としています。

高分子マテリアルズインテグレーションクラスターへのリンク

グリーントライボ・イノベーション・ネットワーク

文部科学省大学発グリーンイノベーション創出事業「グリーン・ネットワーク・オブ・エクセレンス」(GRENE)事業先進環境材料分野

「グリーントライボ・イノベーション・ネットワーク」では、材料および機械分野の融合により、経験的であった既存のトライボロジー分野を革新します。マクロスケールで経験的に捉えられることが多かった摩擦界面を、ナノレベルの計測技術ならびに量子科学計算の活用により物理・化学的に理解し、それを基盤として設計・創製する表面コーティングおよび潤滑油・添加剤からなる超潤滑界面を機械システムに適用することを目指しています。

本研究室は、「機能・構造評価チーム」のメンバーとして活動しています。材料自身の変形効果および凝着力の効果が大きな影響を及ぼすソフトマテリアルの摩擦現象について、単一アスペリティー接触を想定した系において、我々の研究室で開発しているナノ触診原子間力顕微鏡(AFM)で得られる材料自身の変形効果および凝着力の効果と、摩擦力顕微鏡(FFM)の結果を関連付けて考察することで、ナノ空間での摩擦現象の解明を目指しました。その結果、ソフトマテリアルの摩擦現象では、摩擦現象の基礎式 Bowden-Taborの仮説が破綻していることを発見しました。

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